TMクリニック 西新宿 皮フ科・内科

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院長コラム

2018.06.17

日光に当たると出る蕁麻疹(じんましん)についてー紫外線アレルギーと蕁麻疹との関係を解説ー

こんにちは。TMクリニック西新宿院長のおかだりかです。
蕁麻疹は、日常の外来でよくみられる病気ですが、その原因は様々であり、原因が特定できないケースも多くあります。しかし、中には原因が特定できる蕁麻疹もあり、その一つに「日光(太陽光線)」があります。日光に当たると蕁麻疹が出る「日光蕁麻疹」について、診断・治療予防の方法、紫外線を含む太陽光線がどのように皮膚の作用して蕁麻疹が出現するかの機序について、専門医が解説していきます。

日光に当たるとなぜ「蕁麻疹」がでるのかー日光蕁麻疹の機序についてー

蕁麻疹(じんましん)の原因は多種多様であり、原因が特定できないケースも多くあります。しかし、中には原因が特定できる蕁麻疹もあり、日光蕁麻疹もその一つです。日光蕁麻疹は、日光に当たると出現する蕁麻疹です。日光蕁麻疹は、広くは光線過敏症(※)の中に含まれます。また、太陽光線という物理的な刺激が誘引となり蕁麻疹が出現することから、日本皮膚科学会が策定した「蕁麻疹診療ガイドライン」では、「物理性蕁麻疹」に分類されます。

※光線過敏症:日光に当たることによって出現する、または増悪する皮膚疾患の総称

日光蕁麻疹の特徴として、症状がある日突然発症するという点があります。この時期に蕁麻疹が出るようになった、と覚えている患者さんが多いと言われています。日光を浴びた皮膚に限局して、つよい痒みを伴う蕁麻疹が出現します。その日の天気にもよりますが、数分程度日光を浴びただけでも、蕁麻疹が出現する場合もあります。皮疹は、多くの蕁麻疹と同様に数時間程度で消失します。症状の強い方は、全身症状を伴い、場合によってはアナフィラキシーショックを発症することもあり、注意が必要です。

日光(太陽光線)=紫外線と考えている方が多いと思いますが、日光=紫外線ではありません。地上に届き私たちの皮膚に当たる太陽光線は、主に紫外線、可視光線、赤外線があります。さらに、紫外線はUVC、UVB、UVAに分けられます。日光蕁麻疹は、この太陽光線の中で、可視光線が原因であることが多いと言われています。よって、紫外線アレルギー=日光蕁麻疹であることは、実は多くはないのです。しかし、紫外線(UVA、UVB)によって蕁麻疹が出現することもあり、どの波長の光で蕁麻疹が出現するかは、患者さんごとに異なります。どの波長で蕁麻疹が出現するかは、光線テストを行い確認することができます。

蕁麻疹が出現する機序について、患者さんの血清(血液を遠心分離した上澄みの液体)に光線を照射し、皮内注射した場合、蕁麻疹が出現すると言われています。患者さんの血液中には、日光に当たると出現する抗体(IgE抗体)があり、蕁麻疹の発症に関与しているとされています。

日光蕁麻疹の診断・治療予防の方法とは

日光蕁麻疹は、病歴(どのような場面で、どのような皮疹が出現するか)から診断することができます。「ある時期に突然発症し、日光が当たった部分の皮膚にだけ蕁麻疹が出る」といった病歴があれば、日光蕁麻疹が強く疑われます。病歴だけで診断は可能なケースが多いですが、上記で説明したように、どの波長の太陽光線が原因で出現しているかについては、光線テストが必要です。光線テストとは、可視光線、UVB、UVAを単独でそれぞれ皮膚に照射して、蕁麻疹が出現するかどうかを調べるテストです。

日光蕁麻疹の治療方法は、まずは多くの蕁麻疹と同じように「抗ヒスタミン剤」が第一選択となります。抗ヒスタミン剤はヒスタミンをブロックする薬ですが、日光蕁麻疹の患者さんは、蕁麻疹が出現する時の血中ヒスタミン濃度が通常の100倍にも上昇すると言われており、抗ヒスタミン剤のみでは治療効果が乏しいケースが多いです。しかし、軽症例では、効果が得られることもあり、まず行われるべき治療です。

抗ヒスタミン剤が無効な場合は、より強い免疫学的な治療が必要になります。シクロスポリン内服、血漿交換、高用量免疫グロブリン投与などがあります。これらは、専門医によって行われるべき治療であり、副作用もあるため、主に重症な症例に限り慎重に選択されるべき治療法です。また、蕁麻疹が出現する波長の太陽光線を少しずつ浴びることにより、蕁麻疹が出現しにくくなると言われており、このような減感作療法も治療法の一つになります。

予防方法としては、太陽光線に直接当たらないようにすることです。日光を避ける方法として、「日焼け止め」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、日焼け止めは、紫外線のUVBとUVAを主にブロックするためのものです。上記で説明したように、多くの患者さんは太陽光線の中では可視光線に反応して蕁麻疹が出現します。よって、日焼け止めは、多くの場合効果が乏しいことが多いです日光が強い時間帯には外出しない、長袖を着る、帽子をかぶるなどといった方法で太陽光線を避ける必要があります

まとめ

ここでは、日光に当たることで出る蕁麻疹である「日光蕁麻疹」について説明しました。日光=紫外線と考えている方も多いかもしれませんが、日光蕁麻疹の原因は、紫外線ではなく可視光線であることが多いです。よって、日焼け止めでは予防できないことが多く、服装などでしっかり日光を避ける必要があります。「ある日突然、日光にあたった皮膚にだけ蕁麻疹がでた」という方は、日光蕁麻疹の可能性があります。重症な方は、全身の症状を伴うこともあります。このような症状がある方は、早めに皮膚科医に相談しましょう。

参考
日本皮膚科学会 蕁麻疹診療ガイドライン

皮膚科専門医

岡田里佳

2008年名古屋市立大学医学部卒業。 内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。その後大学病院に戻り、急性期・慢性期の皮膚疾患を幅広く経験した。

資格:日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 日本内科学会認定内科医 日本リウマチ学会認定リウマチ専門医 日本アレルギー学会認定アレルギー専門医

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カテゴリ: 蕁麻疹

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