2018.01.25
水虫(白癬)をしっかり治すために必要な知識を専門医が解説ー早くきれいに治すためのポイントー
こんにちは。TMクリニック西新宿院長のおかだりかです。
水虫は足、手、陰部など体の皮膚のどこでも感染する可能性があります。水虫に感染した場合、皮膚の表面の感染であれば塗り薬で治すことができます。しかし、塗り方が正しくなかったり、塗る量が足りなかったり、誤った生活習慣のために、なかなか改善しない方もいます。なるべく早くきれいに治すためには、「コツ」があります。ここでは、早くきれいに治る塗り方や生活習慣について専門医が解説していきます。
水虫を早くきれいに治すための「塗り方」
皮膚の表面に感染した水虫は、基本的には塗り薬による治療になります。体の広範囲に水虫が広がった場合は、飲み薬を使用することがあります。飲み薬は飲むだけなので、特に工夫は入りませんが、塗り薬は毎日自分で塗らなければならず、塗り方は人によって異なっていることがあります。私たち皮膚科医も、塗り方の指導は行いますが、自宅で患者さんが実際に塗っているところを毎日チェックできるわけではないので、正しいやり方で塗れているのか、塗る量は十分なのかについては、次の外来にくるまでわかりません。
症状がある部位にだけ、塗ればいいと思っていますか?答えは「ノー」です。水虫は白癬菌という糸のような菌が皮膚の表面に感染して生じる疾患です。その菌はとても小さく、肉眼で見ることはできません。症状があるところにだけ水虫菌がいるとは限りませんので、症状がある部位から4〜5cm程度大きく塗る必要があると言われています。さらに言うと、靴が当たる部分(足底全体と、足縁)全体的に塗ることが理想的とされています。時間に余裕がある方や、早くしっかりと治したい方は、このように塗ってみることをおすすめします。このような両足全体に塗る場合は、1日1g程度は必要と言われています。そうすると、1ヶ月で約30gです。ほとんどの水虫の塗り薬は、1本10gです。1ヶ月に3本(30g)程の量を塗っている方は多くはないと思います。
皮膚に塗り薬を塗ると、表面から薬の成分が浸透し、水虫菌に作用します。皮膚は厚みがありますのでなかなか浸透しないこともあります。特に、足の裏は他の体の皮膚に比べて皮膚が厚いため、薬の成分が届きにくいと言われています。おすすめの塗り方としては、「入浴後」に塗ることです。入浴後は、皮膚はふやけているので、薬の浸透がよくなります。水分をしっかり拭き取ってから、入浴後に塗るようにしましょう。特に、皮膚が厚い足の裏に水虫がある場合などは、おすすめのやり方です。
また、水虫になると、水ぶくれが生じたりじくじくした傷を伴うこともあります。それは、湿疹や細菌の二次感染が併発することがあるからです。そのような場合は、抗生剤やステロイド剤を用いて、まずは湿疹や二次感染を治療してから、水虫の治療を行う必要があります。じくじくした傷や二次感染がある状態で、水虫の治療を開始しても治りが悪いだけではなく、傷にしみたりかぶれの原因になり、治りが遅くなります。また、水虫の塗り薬によってかぶれることもあります。水虫の治療をしていても、よくならず、むしろ悪化するような場合は、薬にかぶれていることも考えられます。その場合は、早めに皮膚科医へ相談しましょう。
水虫を治すため、そして家族にうつさないための生活習慣
水虫は、ジメジメした夏になると症状が悪くなります。というのも、水虫はジメジメした環境を好むからです。よって、早くきれいに治すためには、ジメジメした環境を避けることが大切です。例えば、足であれば通気性の良い靴下や靴を履くなどの工夫をすると、早期の改善につながります。特に、足の指は相互にくっついており、湿っぽくなりやすく最も水虫が繁殖しやすい部位でもあります。足の指の間に水虫の症状がある場合は、5本指の靴下を履くことで足指間を乾燥させることができます。5本指の靴下を持っていない場合などは、症状がある部位にだけガーゼを挟むなどの工夫をするだけでも、早くきれいに治ることにつながります。
水虫は人から人へ感染する病気です。特に家族は生活をともにしており、密接な皮膚の接触がありますので、感染するリスクが高くなります。お風呂のマットを頻回に変えるなどの工夫が必要になります。
まとめ
ここでは水虫を早く治すコツについて、塗り方、塗る量、生活習慣に分けて説明しました。特に、塗り方は個人でとても差があると思いますので、ここで説明したような塗り方をしっかりマスターしていただき、早くきれいに治すことを心がけましょう。また、水虫の薬によってかぶれることもあります。水虫の薬を塗っていても、症状がよくならない、悪化するといった場合は、早めに皮膚科へ相談しましょう。

皮膚科専門医
岡田里佳
2008年名古屋市立大学医学部卒業。 内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。その後大学病院に戻り、急性期・慢性期の皮膚疾患を幅広く経験した。
資格:日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 日本内科学会認定内科医 日本リウマチ学会認定リウマチ専門医 日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
カテゴリ: 水虫