TMクリニック 西新宿 皮フ科・内科

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院長コラム

2019.04.06

治らない白斑の治療法を、皮膚科専門医が解説します!

こんにちは。TMクリニック西新宿院長のおかだりかです。
白斑(はくはん)は、皮膚の色が白くなる病気で、「色素異常症」と言う疾患に分類されます。白くなると言っても完全に白くなる場合と、完全には白くならないけど、部分的に皮膚の色が薄くなってしまう場合に分けられます。いずれも、痛い・かゆいと言った自覚症状がないことから、気がついていない方や、気がついていても治療しない方もいるでしょう。しかし、顔などの人目につく部位にできたり、白斑がどんどん大きくなっていく場合などは治療を開始することが多いです。しかし、治療を開始してもすぐに効果が得られないこともあります。ここでは、治らない白斑の治療法について皮膚科専門医が解説していきます。

尋常性白斑の原因とは

白斑(はくはん)は、一部の皮膚が白くなってしまう病気で、メラノサイトと言う黒い色素と作る細胞に異常をきたすことで生じます。皮膚科では、「色素異常症」に分類されます。白斑が症じる原因は、カビによる感染症や、子供の乾燥性の湿疹である「単純性粃糠疹(はたけ)」など多くあります。ここでは、原因が明確に特定されない、特発性の白斑である「尋常性(じんじょうせい)白斑」の治療法について説明していきます(※)。

※「尋常性(じんじょうせい)」とは、皮膚科でよく使用される言葉ですが、何か悪い病気のように感じられる方もいるかもしれませんが、「普通の」と言う意味で疲れています。つまり、「尋常性白斑」とは、「普通の白斑」と言う意味で使われています。

尋常性白斑は、後天性の白斑の中で最も多くみられるので、人口の1~0.5%程度にみられるとされており、比較的ありふれた疾患と言えるでしょう。症状の出方はさまざまであり、小さいものから広範囲に及ぶものまであります。
原因としては、自己免疫によるもの(自分の中の抗体が、自分のメラノサイトを攻撃してしまい、色素がつくれなくなる)、遺伝子異常などのいくつかの仮設があります。しかし、今ところ明確な原因はわかっていません。色素をつくる細胞であるメラノサイトに対する自己抗体が、メラノサイトを攻撃してしまい、色素(メラニン)を作らせないような機能障害を引き起こすことが原因ではないかいう考え方が有力とされています。
また、遺伝に関しては、白斑になってしまう明らかな遺伝子はわかっておらず、必ずしも遺伝する疾患ではありません。しかし、20~30%の患者さんで、家族にも尋常性白斑の方がいるため、やはり遺伝的な要因もあるのではないかと考えられています。

尋常性白斑の治療方法

上記で説明しましたように、尋常性白斑の原因は明確にわかっていませんが、自己免疫の異常(自分が自分のメラノサイトを攻撃してしまい、色素を作れなくなる)が主な原因ではないか、と現状では考えられています。よって、治療としては、異常な免疫系を調整・抑制することが必要になります。

ここでは、日本皮膚科学会が策定した「尋常性白斑のガイドライン」に記載のある治療方法について、大きく4つに分けて説明していきます。

<尋常性白斑の治療方法>

①塗り薬(ステロイドなど)
②光線療法(エキシマライトなど)
③飲み薬(ステロイドなど)
④外科的治療(皮膚移植などの手術

塗り薬(ステロイドなど)

尋常性白斑の治療として、まず選択される方法が塗り薬によるものです。特にステロイドの塗り薬は、ほぼ前例で選択されると言えるほど一般的な治療方法です。小さい白斑の場合は、数ヶ月をめどに外用を続け、効果があるかを判定します。これまでの報告によると、小さい白斑の場合、ステロイド外用の効果は半分程度と言われています。ステロイドは、塗り続けると塗った部分の皮膚が萎縮するなどの副作用が出てきます。よって、効果がないのに漫然と続けることは避けるべきであり、数ヶ月で効果がない場合は、他の治療方法に切り替える必要があります。

また、広範囲に白斑が出現している場合は、小さい白斑に比べてステロイドの塗り薬の効果が乏しいと言われています。

ステロイドほどの効果は得られない可能性がありますが、他の塗り薬として、「ビタミンD3軟こう」「タクロリムス軟こう」があります。ビタミンD3軟こうは、有効であるかどうかはっきりわかっていませんが、一定の効果があるという報告もあります。加えて、ステロイドやタクロリムス軟こうに比べて、副作用がとても少ないことから使用されることもあります。

タクロリムス軟こうは、効果がある程度は認められています。またステロイドに比べて、皮膚萎縮などの副作用の出現が少ないことも利点として挙げられます。ただし、ステロイドに比べて、これまでの使用経験が少ないことから、長期的に観察した報告がないところが問題点として残ります。

光線療法(エキシマライトなど)

塗り薬の次に選択されることが多い尋常性白斑の治療方法として、光線療法があります。光線療法が、紫外線療法とも言われています。ある波長の紫外線を白斑部位にあてることにより、色素再生を促そうとする治療法です。
紫外線は、波長の長い順に、UVA、UVB、UVCと分けられます。皮膚科領域で治療に使われる紫外線は、UVAとUVBの2種類です。以前は、UVAを用いたPUVA(プバ)療法が広く行われていました。しかし、PUVA療法はUVAをあてるだけでは効果が乏しいため、事前に塗り薬や飲み薬を併用しなければならないこと、UVBより効果が低いことがわかったため、現在ではあまり選択されません。

PUVA療法に変わって白斑の光線療法の主体は、UVBを用いた治療法になっています。UVBは、中波長紫外線と呼ばれ、波長は280-315nmです。現在使われているUVBを用いた治療方法は、2種類あります。

<UVBを用いた治療方法>

①ナローバンドUVB
②エキシマライト(当クリニックで採用あり)

①ナローバンドUVB

ナローバンドUVBは、名前の通りUVBの波長を狭くしたものです。UVBの波長は280-315nmですが、ナローバンドUVBは、311±2nmに限定した紫外線治療機器です。通常のUVBに比べて効果は高いとされています。
白斑に色素が再生し、改善するまでには、治療回数が多くかかることがあり、紫外線暴露による皮膚がんの発生リスクなどが懸念されています。しかし、どのくらいの光線量で、何回治療をしたら皮膚がんのリスクが上がるかなど、明確なことはわかっていません。
よって、治療回数の明確な制限はありませんが、トータル60~200回程度ではないかと言われています。患者ごとの皮膚のタイプや、1回あたりの光線量、白斑の部位によってもさまざまであり、一概に定義できないのが現状です。

②エキシマライト(当クリニックで採用あり)

エキシマライトは、UVBの波長の中で、308nmに限定した紫外線治療機器で、ナローバンドよりも新しい治療機器になります。
75%以上の色素再生について、ナローバンド UVBと比較したところ、ナローバンド UVB 群では6% であったのに対して、エキシマレーザーライト治療器群では37.5% であったとする報告があり、ナローバンドUVBより効果が高いと考えられます。
しかし、紫外線をあてると言う行為は同様なため、皮膚がん発症のリスクはないとは言えませんが、ナローバンドUVBと同様に、どのくらいの光線量で、何回治療をしたら皮膚がんのリスクが上がるかなど、明確なことはわかっていません。

当院のエキシマライト

飲み薬(ステロイドなど)

白斑に対する飲み薬として、ステロイドや免疫抑制剤があります。白斑の原因で説明したように、白斑は自己免疫の異常で出現することが考えられており、異常な免疫状態を是正させるためにステロイドや免疫抑制剤が使用されるのです。塗り薬と違い、飲み薬は全身に作用するので、副作用が出現する可能性も高くなることから、治療適応になるケースは限られます。ステロイドの内服は、進行していく白斑には有効と言われています。免疫抑制剤については、治療報告がとても少なくガイドラインでも現状では評価困難、との記載になっています。

進行していく広範囲の白斑に対しては、十分な知識を持った医師の元でのステロイド内服療法は、一定の効果が得られる可能性はあるでしょう。

外科的治療(皮膚移植などの手術)

白斑に対する外科的治療は、「皮膚移植」が主に行われています。しかし、まずは上記で説明した塗り薬や光線療法などの治療を1年以上しっかり行う必要があります。このような知慮を行ったにも関わらず改善しない場合で、特に整容的に問題になる白班のみが、外科的治療の適応になるとされています。外科的治療は、実施できる施設は少なく、より専門的な知識が必要になる治療法です。

参考
尋常性白斑診療ガイドライン(日本皮膚科学会)

まとめ

ここでは、尋常性白斑の原因と治療方法について説明しました。白斑は痛い・かゆいと行った自覚症状こそ少ないですが、発症する部位によっては、生活の質を低下させ社会生活に制限が出ることもある疾患です。人口の1~0.5%程度に出現する比較的ありふれた病気である一方、治療方法などあまり知られていないこともあります。
正確な知識を身につけて、しっかり治療していくことや経過をみていくことが大切です。

皮膚科専門医

岡田里佳

2008年名古屋市立大学医学部卒業。 内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。その後大学病院に戻り、急性期・慢性期の皮膚疾患を幅広く経験した。

資格:日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 日本内科学会認定内科医 日本リウマチ学会認定リウマチ専門医 日本アレルギー学会認定アレルギー専門医

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カテゴリ: 白班

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