TMクリニック 西新宿 皮フ科・内科

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院長コラム

2020.01.11

乾癬の治療法としてのエキシマライト

こんにちは。TMクリニック西新宿院長のおかだりかです。

前回、エキシマライトについて詳しくご説明いたしましたが、これからは各疾患の治療法としてどのように使用されているのかをご説明していきたいと思います。

今回は乾癬についてご説明いたします。

 

まず、乾癬とはどのような病気なのか?

乾癬はいくつか病型がありますが、尋常性乾癬(尋常=普通を意味する)がそのうちの90%をしめるため、乾癬というと尋常性乾癬のことを指します。

特徴的な皮膚症状は、白いフケのような銀白色の鱗屑(りんせつ)が剥がれ落ちる、皮膚が赤くなる[紅斑(こうはん)]、皮膚が盛り上がる[浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう)]などがあります。

乾癬の好発部位は、頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざ、おしり、太もも、すねなど外部からの刺激を受けやすい部位でよくみられますが、それ以外の部位にも発疹が出る場合があります。


 

好発年齢は、青壮年期、特に男性では50歳代、女性では20歳代と50歳代が多いといわれております。

 

乾癬の原因はまだはっきりとわかっていませんが、細菌やウイルスによる病気ではないので、他人にうつるという心配はありません。

乾癬には免疫機能の異常がかかわっており、免疫に異常をきたしやすい体質の人に、外的な因子(けがや感染症、ストレスなどの刺激、食生活)や内的な因子(糖尿病、脂質異常症、肥満など)が加わることで発症するのではないかといわれております。

 

また、よく乾癬は遺伝するのかというご質問を受けることもございますが、確かに乾癬になりやすい体質というものは遺伝することはありますが、必ずしも発症に至るわけではなく、そこにはやはり外的内的因子が関わってくるということが考えられております

 

乾癬の治療法は?完治ってあるの?

ここからは、乾癬の具体的な治療法などについて、ご説明いたします。

まず、乾癬は、下記に示すような色々な治療方法があります。重症度や、患者さんのライフスタイルに合わせて治療法を選択していきます。

 

通常は塗り薬からスタートすることが多く、内服薬、光線療法の3つが基本的な治療になっております。

 

しかし、2010年からはこれらの治療で十分な効果が得られない場合や副作用が強い場合、生物学的治療も使用できるようになりました。生物学的製剤は、乾癬の症状が出ている部位に大量に出ている、炎症にかかわるたんぱく質(サイトカイン)の働きをピンポイントで抑えて症状を改善します。

 

 

以下に乾癬の治療法のピラミッドをしめします。

 

1.外用療法

 

外用薬は、ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬が主に使用されています。

 

ステロイドは、活発になった白血球の活動や血管の拡張を抑えることで皮膚の炎症を抑制する薬剤です。効果の強さによって5つのランクに分けられ、症状に応じて使い分けます。特に紅斑の改善に効果的です。効果は比較的早く現れますが、長期に漫然と使用することで副作用をおこすこともあります。

 

ステロイドというと、あまりよくないイメージをもつ方もいらっしゃるかもしれませんが、しっかりと使用すればとても効果的な治療です

 

 

ビタミンD3外用薬は、皮膚の細胞が過剰に作られることを抑え、正常な皮膚に導くといわれています。特に鱗屑や、皮膚の盛り上がり(浸潤・肥厚)の改善に効果的です。ステロイド外用薬に比べ、ゆっくりと効果が現れる薬剤ですが、一度症状が良くなれば、その状態を長期間保つことができるといわれています。

 

 

次に内服薬ですが、主に皮膚の細胞が過剰に作られることを抑えるビタミンA誘導体(レチノイド)、乾癬で活発になっている免疫反応を抑える免疫抑制薬(シクロスポリン、メトトレキサート)、免疫にかかわる細胞の酵素の働きと炎症を抑えるPDE4阻害薬(アプレミラスト)があり

’ます。

 

また、生物学的製剤は、生物が作り出すタンパク質をもとに作られた薬で、皮下注射や点滴で投与され、体の免疫機能などに関わる物質であるサイトカインの働きを弱める薬です。                                

 

サイトカインとは、細胞から細胞への情報を伝達するタンパク質のことです。サイトカインには様々な種類があり、免疫機能にかかわるものもあり、乾癬ではこのようなサイトカインが増加しており、症状を引き起こしていると考えられています。 

 

乾癬における光線療法の背景

前回の記事でもご紹介したとおり、もともとは乾癬の治療としての光線療法ではPUVA療法がメインとして使用されておりました。2000 年に乾癬の PUVA 療法ガイドラインが発表され、その際絶対禁忌と相対禁忌が明記されました。

 

絶対禁忌

①皮膚悪性腫瘍の合併あるいは既往歴のある者
②高発癌性リスクの者(dysplastic nevus syndrome、色素性乾皮症、過去にヒ素の内服や接触歴、放射線照射歴のある者)
③顕著な光線過敏を有する者(遺伝性光線過敏症、白皮症、ポルフィリン症、光線過敏性膠原病など)
④妊娠中あるいは授乳中の女性(内服PUVAの場合)

 

 

相対禁忌

①10 歳未満の者
②光過敏症を有する薬剤や免疫抑制薬を服用中の者
③白内障,光線増悪性自己免疫性水疱症(天疱瘡・類天疱瘡など),重篤な肝・腎障害,その他の重篤な疾患を合併する者(ただし内服 PUVAの場合)
④ソラレン過敏症、日光照射・PUVA

引用;日本皮膚科学会

*この際、慢性副作用に、腫瘍の発生も記載されました。

 

ナローバンドUVBの登場

一方で、2002年にナローバンドUVBが登場してからは、その簡便性(ソラレンの概要の必要性がない)や紅斑を生じない照射量での治療が可能なことから、広く普及しはじめました。

 

現在はPUVA療法に代わり、このナローバンドUVBが光線療法の第一選択になっているわけですが、課題点としてはやはり長期になると皮膚癌のリスクがあること、また頻回および比較的長期間の照射が必要であることが挙げられます。

 

そこで、全身型ではなく限局した部位に局所的に照射するターゲット型光線療法として、エキシマライトが開発されたのです。

エキシマライト治療の実際

エキシマライトは、ナローバンドUVBの中でも308nmの波長に限局した治療法です。308nmの波長は、紅斑がやや発現しやすいものの、乾癬における作用スペクトルが高く、理論上、治療のバランスに優れているとされています。また、311nmとメラニン吸収係数を比べた場合、その差は約2%とわずかであることが示されており、波長による深達度の差はほとんどないと考えられています。
エキシマライトは、ナローバンドUVBに比べ、照射時間が非常に短いのが特長で、かつ照射回数が少なく、総照射量も少ないといわれております。

 

また、様々な海外のデータでは、90%皮疹消失は、平均して10回前後の照射ののちに得られたと報告が多くされております。

 

このように、乾癬におけるエキシマライト治療は、副作用の問題はいまなお残ってはいるものの、現在は最も安全かつ簡便であると考えられます。

 

当クリニックでは、「セラビーム®UV308」を使用しております。

 

「セラビーム®UV308 」は、308nm付近の紫外線を採用すると同時に、リスクのある短波長域を、「エキシマフィルター」で制御することで、患部に対する効果的かつ安全性に配慮した照射を可能としました。

まとめ

乾癬の一般的な治療と、光線療法とくにエキシマライトにつきまして詳しく説明させていただきました。次回もエキシマライトを中心にコラムを書かせていただきます。

皮膚科専門医

岡田里佳

2008年名古屋市立大学医学部卒業。 内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。その後大学病院に戻り、急性期・慢性期の皮膚疾患を幅広く経験した。

資格:日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 日本内科学会認定内科医 日本リウマチ学会認定リウマチ専門医 日本アレルギー学会認定アレルギー専門医

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